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FILM ART 通信
オーディエンス革命



No.1 映画は孤独ではない

津田広志


1人で映画を語るより、何人かで語ると、意外に深い見方ができる。
1人では1方向しか理解できていなかったものが、3人、いや5人だと複数の視点から語れて、見方がぐんと深まる。

たとえば、昨年カンヌ映画祭グランプリをとったジャック・オディアールの『預言者』。この映画、どうみても腑に落ちないのが、主人公に殺された人が、亡霊となって出てきて、恨みを言うのではなく、逆に主人公を助け、よい預言をあたえること。
「なんで?」

この死者、守護霊だね、と私なんかは単純に思う(笑)。別の人は、生者と死者の境が曖昧になり、恨みと救済の区別も曖昧になり、そこがこの映画のすごいところと言う。いや、この死者は主人公の同胞民族であり、そこに死んでも連帯する魂があるんだ、と言う人もいて、だんだん見方が深くなってくる。

フィルムアート社では、カフェ形式(小グループに分かれてディスカッション)で、映画の見方を多くの人と共有するイベントを定期的に行なっている。

今年春は、ラジカルな津田塾大学ソーシャルメディアセンターと組んでamuで行なった。上映作品は前田真二郎『BETWEEN YESTERDAY & TOMMOROW』、津田塾大学学生作品『就活日記』、坂上香『刑場の月』。震災、就職、死刑制度と異種のテーマを扱った短篇ドキュメンタリー3本連続上映。東京都写真美術館協力。

いろんな見方が会場で交わされた。「音が映像よりすごく強く感じた」「当事者と傍観者(観客)の区分が曖昧になっていき、自分がどちらの側にいるのか分からなくなってきた」「3作品がそれぞれの対象を描いているのに、何か共通する日本の現実の衝撃がある」など活発な意見が闘わされた。

考え方を共有しあえば、普通の観客でも、最後は映画批評家並みの認識に達する。映画は1人で見るものであっても、1人で完結するものではない。できるだけとんでもない意見をつぶやく。でもそれが垂れ流されるのではなく、集団で編集される。観客は批評家にはなれないがそれに近づくことができる。そのわずかな前進が大きい。

批評家以上に、観客が覚醒することによって世界に揺さぶりをかける。

映画は孤独ではない。


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■推薦図書

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・『みる・かんがえる・はなす 観賞教育へのヒント』
 (アメリア・アリナス 著、淡交社)

初心者に美術史の知識は無用と言い切る新しい美術鑑賞の道を拓く1書。

・『第4回恵比寿映像祭公式カタログ』
 (東京都写真美術館 編、東京都文化発信プロジェクト)

映画から映像へ。映像のインスタレーションの新しい可能性と世界が随所に紹介されていて面白い。

・『ひきずる映画』
 (村山匡一郎+フィルムアート社編集部 編、フィルムアート社)

現代最先端映画を集成した1冊。読んでいて癒されないが、現実を思い知り勇気づけられる挑戦的な書。




■関連リンク、参照元など

※ 津田塾大学ソーシャルメディアセンター  http://edu.tsuda.ac.jp/cmccl/
※ 恵比寿映像祭  http://www.yebizo.com/