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FILM ART 通信
オーディエンス革命



No.3 見ることは、作ること
津田広志


ただ絵を見ているだけでは、その本質を理解することはできない。ところが、簡単な模写をしてみるとすんなりわかることがある。

たとえばセザンヌの絵を模写する。どうしてこんなタッチになるのか、どうして山をこんな風に描くのか。意外な事実を発見する。「セザンヌは絵がヘタなのではないか?」。もしそれに気づいたとき、なぜ彼が「個の表現」を重視する「近代絵画の父」であるのかわかるのではないだろうか。個というものは、ふぞろいのものが美しいのだ。

作りながら見る。見ることは、作ること。

フィルムアート社では、「見ることは作ること」という提案/実践をずっと続けている。オーディエンスの成長を支え、「オーディエンス革命」につながるからだ。もうひとつ実践例を。

優れた翻訳家として、ユニークな演劇ファシリテーター&コメンテーターとして活躍されているシカ・マッケンジーさんの「Open Mic !」※1をamuで開いた。この中で、アメリカの演出家ウタ・ハーゲンの有名な「2分間エクササイズ」を行なっていただいた。

これは、日常生活のひとこまを演じるエクササイズだ。たとえば、化粧する、歯磨きをする。なんてことはない。しかしこれが意外とむずかしい。自意識がでてしまい、不自然な演技になりやすいのだ。しかしシカさんの的確なアドヴァイスによって、プロ/アマ問わず、演技にリアルさが増してくる。

このエクササイズを行なうと、「演じるとは何か」が痛いほど分かる。

よい演技とは、自意識やナルシズムが克服されたものである。ウタ・ハーゲンは、過飾やひけらかしを捨てて「自分自身を見つける」ことだと言っている。自分自身になりきった瞬間、演技は、リアルで無駄がなく、美しい。

演じることを通して演劇が見えてくる。さらにいえば、私たちの日常のふるまいまで見えてくるから、おそろしい。

かつて「すべての人は芸術家である」と、ヨーゼフ・ボイスや岡本太郎は言った。

正確にいえば、「すべての人は芸術家にはなれないし、なる必要もない。しかし芸術を理解し、生活の中に応用する力を万人は秘めている」と言えると思う。

その意味で、すべてのオーディエンスは、画家であり、俳優なのだ。



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左:ウタ・ハーゲン
右:「2分間エクササイズ」の模様





■推薦図書

        


・『“役を生きる”演技レッスン』 (ウタ・ハーゲン 著、フィルムアート社)
 うわべの演技は見透かされてしまう。演技(acting)へのリスペクトとは何か。全米ベストセラー。

・『魂の演技レッスン22』 (ステラ・アドラー 著、フィルムアート社)
 あなたが知っている世界より演劇は大きい。魂をゆさぶる演技とは?
ウタ・ハーゲンの書と並ぶ名著。

・『今日の芸術』 (岡本太郎 著、光文社文庫)
 芸術の本質を平易な言葉でえぐった古典。セザンヌのヘタさの意味もこれでよくわかる。




■関連リンク、参照元など

※1 Open Mic ! シカ・マッケンジーのアクターズ・ナイト!
  http://www.a-m-u.jp/event/2011/09/open-micvol.04.html