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FILM ART 通信
オーディエンス革命



No.4 多様性のシェアが創造性を高める
大場健


書店では、特定の本を特定の棚で売る従来の手法から離れて、異ジャンルを横断的に関連付けて販売する店が増えている。たとえば、ある店の棚は「食べる」「遊ぶ」「旅をする」など何気ない日常の運動がテーマ。テーマに沿う本であれば、料理書の横に文学が並んでいたり、思想書の横に絵本が並んでいたり、書店員のやわらかな発想で展開されている。

また近年は、出版物の内容自体も、固定のジャンルの枠組には収まりきらない本が多い。なかでも「編集」や「デザイン」など、情報の加速化とともにジャンルのとらえ方が変容している分野。本を作ることだけが「編集」ではなく、造形物を作ることだけが「デザイン」ではない今日、それらは「生き方」や「ライフスタイル」といった誰しもが活用できるヒントとして、書店では提案されている。

たとえばリブロ渋谷店では、既存のジャンルから、どうしても溢れてしまう本で構成されたエリアが設けられている。「フリー」「シェア」などを扱うマーケティング書の隣にコミュニティ関連の本が並んでいたり、「教育」「学び」などを扱う本の横にソーシャルメディア関連の本が置かれていたりする。しかし不思議なことに、棚全体を俯瞰して見ると、今考えるべき生活のテーマがまとまりを持った総体として見えてくる。また、そうしないと情報化社会のダイナミックな動きをとらえられないのではないだろうか。

「ジャンルに統一性はありませんが、言語化しづらい本がこのエリアに自然と増えて集まります。一方で、お買上げ頂くお客様の顔は見えやすく売上も好調です」、担当者は言う。

そもそも、一般的には接点がないと感じられるものが、一つの線や塊として有機的に結びつく時、思ってもみなかった成果が得られる。ある特定のジャンル内での思考に留まるのではなく、反対の意見や物事をつなげてみたり、外部との接触を積極的に持つこと。

こうすることで、形骸化してしまう発想から解き放たれ、新たなアイディアが生まれてくる場合が多い。書店員の場合は異ジャンルの本を意識的に編集をかけ陳列する、読者の場合は主体的に本を選び取り日常とリンクさせる。出版社、書店、読者が見えない糸でつながれることで、今までにない時代の側面を浮上させる。

小社では今月、二冊の新刊を発売する。『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン』、『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』。前者は、人と人とのリアルな共同体から地域活性や問題解決を考えることが主題。逆に後者は、文章・映像・音源などヴァーチャルな継承において著作権の在り方や作品の可能性を広げることが主題となっている。

一見相容れないな両者だが、根底で共通しているのは、多様な意見やクリエイティヴィティを交差させ、主体を共有/循環させていく行為にある。アートや社会の問題に限らず、「個」の思考を世に放つことが、現代の閉塞感を破る糸口になるのではないか。パブリックの中で自分と他者の意見を相対的に考え、関連付け発展させることで、新しい価値が大きな力として生まれてくる。


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左:リブロ渋谷店の棚
右:「著作権によって阻まれた作品同士の相互利用を、作品にライセンスを付けることによって乗り越えるイメージ」、『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』、p.91、BY ドミニク・チェン、http://openfa.jp、(CC:表示-非営利-継承)





■推薦図書

        


・『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン』
 (紫牟田伸子+編集部 編、フィルムアート社)
 「コミュニティ」を通して、建築、アート、ビジネスなど、様々な角度から問題を解決していく。


・『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』
 (ドミニク・チェン 著、フィルムアート社)
 <継承>と<リスペクト>による創造の共有。情報社会の中で創作における未知なる可能性を切開く。


・『いま、目の前で起きていることの意味について』
 (ジャック・アタリ 著、早川書房)
 フリー、音楽、出版から、科学、家族、宗教についてまで。各分野の横断が新たな理解につながる。


■関連リンク、参照元など

※ クリエイティブ・コモンズ・ジャパン  http://creativecommons.jp/
※ 映画24区  http://eiga24ku.jp/
※ 立川空想不動産  http://www.cuusooestate.jp/