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FILM ART 通信
オーディエンス革命



No.5 本とコミュニティ
津田広志


現代社会のあり方を問う、東浩紀『一般意志2.0』。アマゾンのレビューでは、評価はまっ二つに分かれている。賛否両論が展開されている。読者の方々は、みな真面目にコメントを入れている。

2, 3のレビュー見てみよう。
「『集団的無意識』が『一般意志』となり、グーグルなどインターネットメディアで顕在化したもの、それが『一般意志2.0』だ」
「著者は『ひきこもりたちの集合知を生かした公共の場』という言葉を使っていることに面食らった。『大衆の欲望』と『ひきこもりたちの集合知』がどこでイコールになったのか?」
「東氏の描く姿には魅力を感じない。有能な代議士が選出される仕組み作りを創ればよい」

本書の支持/不支持が、22対11(2012年6月現在)。支持派の中でも、単純な支持派は少なく、また不支持者の中には、彼の言説のベースを支持している者も多くいる。

本とは、それが現在性のある優れた本である瞬間、同時に多数の読者が集まり「目にみえないコミュニティ」を作る。そして重要なことは、賛否両論が交差する「言葉の空間」を生み出す場であることだ。

長谷川理恵の『願力 愛を叶える心』ですら、レビューは、賛否が1対9でほぼ「ブーイングの嵐」になっているが、賛否両論あり、かつ否定の側が多すぎるのが興味深い。

わたしたちは、今、「理想論を言ってよし」という現実に生きてはいない。諸条件が相互連関して、複雑な現実の前で、理想論=正論だけを吐く人は「原理主義者」になる。反対に、目先の現実のことばかり言う者は「現実主義者」になり、既視感のある保守になりやすく、新しいアイディアが不足しやすい。

原理主義でも現実主義でもない「第3項の言葉と行動をする」コミュニティがあってほしい。「コミュニティ」が時代の言葉になっているが、重要なのはたんなる「コミュニティ」ではなくて、「賛否が健全に機能するコミュニティ」の誕生ではないか。「コミュニティ」は、内輪の同好会ではなく、「矛盾の中を思考する集団」であるからだ。

フィルムアート社では、「本+コミュニティ」をテーマとして上げて、推進している。
本からコミュニティがうまれ、ウェブサイトやリアルスペースで参加者が論議する場を提供していきたい。

SNSの「いいね!」というアイコンがある。この本当の意味は、たんにいいね、ではなく、自分と違った意見でも客観的に見て「いいね」というシグナルであってほしい。その姿勢がコミュニティを自閉させず、賛否両論、清濁あわせ呑んで、我々を外へ向けて現実的に成長させるからだ。




■推薦図書
         

・『一般意志2.0』 (東浩紀 著、講談社)
 ルソーの考えを手がかりに、新社会の「意志」を探る、スリリングな書


・『あなたの人生を愛するノート』 (アルフォンス・デーケン 著、フィルムアート社)
 死生学(タナトロジー)に基づき、死の価値を再考させる新しいエンディングノート


・『これからのアートマネージメント』
 (中川真+フィルムアート社 編、フィルムアート社)
 既存のコミュニティ論を超える、アートを用いたコミュニティの死と再生への挑戦


■関連リンク、参照元など

※ amu アルフォンス・デーケン氏特別講演
 ホスピス的共同体への考察、死生学(タナトロジー)へのまなざし
 http://www.a-m-u.jp/event/2012/07/alfonsdeeken.html

※ amu 『WindowScape』イベント
 アーキテクチャーの視点に、「住」と「窓」を通して、ふるまいのあり方を考える集い
 http://www.a-m-u.jp/event/2010/11/19/behavior-ology.html