■シフトする世界
ソーシャルメディアの発達で、オーディエンス(観客、読者)のメッセージが身近に読めるようになりました。そのコンテンツは、まだまだ質的に満足できるものではありません。しかし、もしオーディエンスの声が高度に編集され、強い力を持つようになると、それは「革命的」な声になるでしょう。
故・寺山修司が、映画館の観客に向かって「お前らなにしているんだ。ただ座っているだけじゃないか」(映画『書を捨てよ町へ出よう』)と言ったのは1970年でした。それから40年経った今、オーディエンスは立ち上がろうとしています。作家が表現する世界が「半分」だとしたら、オーディエンス(観客・読者)が理解・表現する世界はもう「半分」。この2つが1つになったとき初めて「世界」は成立する。世界は、シフトし始めます。
■「フィールドワーク」と「編集」
私たちは、オーディエンスの声を「フィールドワーク」と「編集」によって集めます。オーディエンスの声を単なる情報ではなく<事件>としてフィールドワークしながら集め、錯綜した声たちを<接続>して編集します。ステレオタイプではないクリエイティヴィティを、日常生活の中に生かす。
本、アート、映画、精神医療からビジネスパーソンの世界まで、日常表現の中で見逃されている現代のキーコンセプトを価値としてお伝えします。未来への接続。
■Reporter
○津田広志(つだ・ひろし)
フィルムアート社編集長。90年代にCineLesson、ArtEdgeシリーズ、2000年以降にPracticaなど、オーディエンスがいかに自分の思考の中にクリエイティヴィティをつくるかを視点に、企画編集を続ける。クリエイティヴスペースamuディレクター。モットー「死んでもやることはやる」。
○大場健(おおば・たけし)
フィルムアート社マーケット分析担当。書店、映画館、コミュニティなどから、情報や人の声を集め、新たな価値を提案。現代社会の多様性をつなげていく。モットー「行動・持続」。
○著者
その都度、今の時代の問題点、解決策を著者にも語っていただきます。
◆ No.1 映画は孤独ではない (2012.4.13)
◆ No.2 観客のアクションが映画を前進させる (2012.4.27)
◆ No.3 見ることは、作ること (2012.5.01)
◆ No.4 多様性のシェアが創造性を高める (2012.5.24)
◆ No.5 本とコミュニティ (2012.6.20)
◆ No.6 受け手からつくり出される表現 (2012.8.21)
◆ No.7 小さな革命家の長い革命 (2012.9.14)
◆ No.8 観客の新感覚 (2012.11.5)