恐怖が、再定義される──
『ゲット・アウト』の監督・ジョーダン・ピールが送る
黒人作家たちによる恐怖の最前線
【ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞受賞/世界幻想文学大賞最終候補作】
『ゲット・アウト』『アス』『NOPE/ノープ』で世界に衝撃を与えた映画監督・脚本家ジョーダン・ピールが編集を手がける、全編書き下ろしによるブラック・ホラー短篇集。
本アンソロジーに収録された19の作品では、奴隷制度の記憶、公民権運動のトラウマ、移民としての分断されたアイデンティティ、そして現代社会の見えざる暴力など、超自然の恐怖だけでなく、アメリカ社会に深く根を下ろした不正義や歴史的暴力といった“現実”の〈悪夢〉が描かれる。
作家陣には、N・K・ジェミシン、ンネディ・オコラフォー、レベッカ・ローンホース、タナナリーヴ・ドゥーら国際的に高く評価される作家たちが名を連ね、新進気鋭の書き手も多数参加。また、ジョーダン・ピール自身による序文も収録されている。
ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞を受賞したほか、Esquire、CrimeReads、シカゴ公共図書館の「年間ベストブック」にも選出された。
また、英・ガーディアン紙は「今年最高のアンソロジーであるだけでなく、時代を超えて語り継がれる一冊」と絶賛している。
ブラック・ホラーの最前線を記録する、必読のアンソロジー。
あなたがまだ見ぬ恐怖が、ここにある──
私はホラーを、エンターテイメントを通じた浄化だと考えている。それは自らの深奥にある痛みや恐怖と付き合うための方法なのだ――だが黒人にとってそれはおいそれとできることではないし、過去数十年遡っても、不可能だった。そもそも、物語が語られること自体がなかったからだ。
この小説集には19人の才気溢れる黒人作家たちが集い、それぞれの「沈んだ地」と秘密地下牢を披露してくれている。この作家たちの隣に名を連ねることはこの上なく光栄であり、誇りでもある。物語の形はさまざまだ──悪魔との舞踏に、もうひとつの現実をめぐるファンタジー、本物の、そして架空の怪物たち。それらは我々の心の内奥にある恐怖と欲望を生々しく映し出す想像の産物だ。そしてそれらは、忘れ去られることはない。
──ジョーダン・ピール「序文」より抜粋
目次
序文 ジョーダン・ピール
01「不躾なまなざし」N・K・ジェミシン(押野素子訳)
02「〈目〉と〈歯〉」レベッカ・ローンホース(ハーン小路恭子訳)
03「彷徨う悪魔」キャドウェル・ターンブル(ハーン小路恭子訳)
04「ベイビー・スナッチャーの侵略」レズリー・ンネカ・アリマー(柴田元幸訳)
05「片割れ」ヴァイオレット・アレン(ハーン小路恭子訳)
06「人魚(ラシレン)」エリン・E・アダムズ(ハーン小路恭子訳)
07「乗ってきた男」タナナリーヴ・ドゥー(柴田元幸訳)
08「芸術愛好家」ジャスティン・C・キー(ハーン小路恭子訳)
09「圧」エズラ・クレイタン・ダニエルズ(今井亮一訳)
10「暗い家」ンネディ・オコラフォー(福間 恵訳)
11「ちらつき」L・D・ルイス(坪野圭介訳)
12「世界一最強の女魔術師(オビア・ウーマン)」ナロ・ホプキンソン(今井亮一訳)
13「ノルウッドの動乱」モーリス・ブローダス(今井亮一訳)
14「死者の嘆き」リオン・アミルカー・スコット(押野素子訳)
15「しるしを刻む木のそばで、一羽の鳥がさえずる」ニコール・D・スコニアーズ(福間 恵訳)
16「あるアメリカの寓話」チェシャ・バーク(坪野圭介訳)
17「あなたの幸せな場所」テレンス・テイラー(福間 恵訳)
18「かくれんぼ」P・ジェリ・クラーク(今井亮一訳)
19「オリジン・ストーリー」トチ・オニェブチ(柴田元幸訳)
訳者解説 『どこかで叫びが』におけるブラック・ホラーの意匠 ハーン小路恭子
著者・編者略歴
訳者略歴
プロフィール
[著者]
エリン・E・アダムズ(Erin E. Adams)
ハイチ系アメリカ人第一世代の作家、劇作家。長編第一作Jackal がエドガー賞、ブラム・ストーカー賞、レフティー賞の最終候補となる。『エスクァイア』、『ヴァルチャー』、『ポップシュガー』、『パブリッシャーズ・ウィークリー』で年間最優秀作品のひとつに選ばれ、『コスモポリタン』では史上最高のホラー小説に選ばれる。アダムズはブラウン大学にて優秀な成績で文学士号を取得後、オールド・グローブ劇場とサンディエゴ大学シャイリー大学院演劇プログラムで演技の芸術修士、ニューヨーク大学ティッシュ芸術大学院で劇作の芸術修士となる。各賞を受賞した劇作家、俳優であるアダムズは過去十年間ニューヨークシティ在住。長編第二作One of You を二〇二四年にペンギン・ランダムハウスより上梓。
ヴァイオレット・アレン(Violet Allen)
イリノイ州シカゴ在住のSF、ファンタジー作家。現代のポップ・カルチャーから古代の詩に至るまであらゆるものに題材を求め、社会や文化、人間関係を超現実的に描き出す。短編小説を『ライトスピード』、The Best American Science Fiction and FantasyやResist: Tales from a Future Worth Fighting Against、A People’s Future of the United States、The Dystopia Triptychなどのアンソロジーなどに発表。ポッドキャストLeVar Burton Readsでも作品を発表。自由時間には音楽制作、映画鑑賞と生地から完璧なピザを作ろうとすることが好き。ハワード・モーハイム・リテラリー・エージェンシーのドン・ワン・ソンが代理人、Xのアカウントは@blipstress。
レズリー・ンネカ・アリマー(Lesley Nneka Arimah)
イギリスに生まれ、ナイジェリアをはじめ父の転勤先を転々として育つ。これまで短篇が『ニューヨーカー』、『ハーパーズ』、『マクスウィーニーズ』、『グランタ』に掲載され、全米雑誌賞、O・ヘンリー賞、ケイン賞を受賞。全米図書協会の「三十五歳以下ベスト作家5」に選出。第一短篇集What It Means When a Man Falls From the Skyで二〇一七年度カーカス賞、二〇一八年度ニューヨーク公共図書館若獅子賞をはじめさまざまな賞を受賞。現在、ミネアポリスに住んであなたに関する長篇小説を執筆中。
モーリス・ブローダス(Maurice Broaddus)
作家、コミュニティ・オーガナイザー、中学校教員、司書。これまでに短篇が『ライトスピード』、『ウィアード・テイルズ』、『ザ・マガジン・オブ・ファンタジー・アンド・サイエンス・フィクション』、『アンキャニー』、Black Panther: Tales of Wakandaなどに掲載される。著書としては、SF長篇Sweep of Stars、スチームパンク作品Buffalo SoldierならびにPimp My Airship、中学生探偵が活躍する長篇The Usual SuspectsとUnfadeableなどがある。コラボレーション企画SorcerersはAMCによって映像化が進んでい。『エイペックス・マガジン』の編集も務める。
詳細はMauriceBroaddus.comまで。
チェシャ・バーク(Chesya Burke)
ステットソン大学英米文学科のアシスタント・プロフェッサー兼アフリカーナ・スタディーズ学科主任。ホラーやSF、コミック、アフロフューチャリズムのジャンルで百本を超える小説や論文を書き、出版しており、主に人種、ジェンダーとジャンルの交錯を主な研究対象とする。短篇集Let’s Play White は世界中の大学で教材として用いられ、グラミー賞受賞詩人のニッキ・ジョヴァンニはオクテイヴィア・バトラーやトニ・モリスン、サミュエル・R・ディレイニーなどの作家と比較しつつ、バークを「比類なき新しい恐怖の使い手」と評した。キャリー・マリガンがホストのポッドキャストI Hear Fear収録のチェシャによるエピソード“Under the Skin”は、WonderyとAmazonMusicプロデュースで二〇二二年のハロウィーンに配信された。代理人を務めるのはライターズ・ハウスのアレック・シェーン
および、シュガー23のスキ・チュウとカタリーナ・エスクデロである。
P・ジェリ・クラーク(P. Djèlí Clark)
長篇小説『精霊を統べる者』、中篇小説Ring Shout、The Black God ’s Drums、The Haunting of Tram Car 015でヒューゴー賞、ネビュラ賞、シオドア・スタージョン記念賞、英国幻想文学大賞、世界幻想文学大賞などの受賞とノミネートを誇る作家。短篇小説が、オンライン・メディアとしてはTor.com、『デイリー・サイエンス・フィクション』、『ヒロイック・ファンタジー・クォータリー』、『エイペックス』、『ライトスピード』、『ファイアサイド・マガジン』、『ビニース・ケアレス・スカイズ』に掲載され、またGriots、Hidden Youth、Clockwork Cairoなどのアンソロジーにも収録されている。文芸誌『FIYAH』の創立メンバーでもあり、まれに『ストレンジ・ホライズンズ』へ書評を寄せている。中学生向けファンタジー・シリーズの第一巻として長篇Abeni ’s Songもある。現在はニューイングランドにて、エドワーディアン様式の小さな城に、妻、娘たち、そしてペットの龍(ボストンテリアにそっくりという疑惑がある)と暮らしている。気が向くと、スペキュレイティブ・フィクションや政治や多様性について、ぴったりの名をもつブログDisgruntled Haradrim〔直訳は「不機嫌なハラドリム」。ハラドリムはJ・R・R・トールキンの『指輪物語』に出てくる種族で、南方に住み、肌が浅黒い〕につらつら書いている。
エズラ・クレイタン・ダニエルズ(Ezra Claytan Daniels)
黒人と白人のミックスで、さまざまな分野にて活躍するアメリカ人アーティスト。アイオワ州スーシティに生まれ育ち、SF/ホラー・グラフィックノベルのUpgrade Soul(Oni Press)ならびにBTTM FDRS (Fantagraphics)で賞を得ている。映像作品がザ・クライテリオン・チャンネルやシカゴ現代美術館で取り上げられ、ホイットニー美術館に常設展示されている。現在はロサンゼルスに暮らし、映画やテレビの脚本を執筆している。
タナナリーヴ・ドゥー(Tananarive Due)
数々の受賞歴を誇る、UCLAでブラックホラーとアフロフューチャリズムを教えている作家。シャダー配給の画期的ドキュメンタリーHorror Noire: A History of Black Horrorの製作総指揮。夫で共同製作者のスティーヴン・バーンズとともにジョーダン・ピール『トワイライト・ゾーン』(Paramount +)シーズン2の“A Small Town”を、またシャダーのアンソロジー映画Horror Noireの2セグメントを執筆。また、同じくバーンズと共同でブラックホラー・グラフィックノベルThe Keeperを執筆(絵マーコ・フィネガン)、二人でポッドキャストLifewriting: Writer for Your Life!を運営。二十年以上にわたり黒人スペキュレイティブ・フィクションを主導し、全米図書賞、 NAACPイメージ・アワード、英国幻想文学大賞を受賞、年間ベスト・アンソロジーにも数多く選ばれている。主な著作としてThe Reformatory、The Wishing Pool and Other Stories、Ghost Summer: Stories、My Soul to Keep、The Good Houseなど。市民権運動の活動家であった母親の故パトリシア・スティーヴンズ・ドゥーとの共著にFreedom in the Family: A Mother-Daughter Memoir of the Fight for Civil Rightsがある。現在、夫と息子ジェイソンとともに南カリフォルニアに住む。
ナロ・ホプキンソン(Nalo Hopkinson)
ジャマイカに生まれ、カナダ在住の作家。複数の長篇ならびに短篇で、世界幻想文学大賞、シオドア・スタージョン記念賞、サンバースト賞、ネビュラ賞などを受賞。二〇二一年にはアメリカSFファンタジー作家協会より、デーモン・ナイト記念グランド・マスター賞を授与された。SF・ファンタジーへの多大な貢献を讃える本賞を初めて授与されたアフリカ系女性であり、歴代最年少の受賞者である。
N・K・ジェミシン(N.K. Jemisin)
『破壊された地球』三部作によって、SF/ファンタジーのジャンル史上初めて、ヒューゴー賞(長編小説部門)を三年連続で受賞。ネビュラ賞やローカス賞にも輝き、二〇二〇年にはマッカーサー・フェローにも選出された。現在進行中のGreat Cities三部作の第一作The City We Becameは、『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーに。そのスペキュレイティブな作品は、ファンタジーからSF、さらには定義不能なものまで多岐にわたり、抑圧への抵抗や、境界にあるものは切り離せないという視点、そして「物が爆発する格好良さ」などが作品のテーマに据えられている。また、クラリオンおよびクラリオン・ウェストのライティング・ワークショップで講師を務めたほか、『ニューヨーク・タイムズ』紙でSF/ファンタジーの書評を担当した経験も。プライベートではゲーマーかつ園芸家。危険なまでに賢い赤毛の猫「キング・オジマンディアス」と破壊的な相棒「マーヴェラス・マスター・マグパイ」から世界を守るという重責も負っている。
ジャスティン・C・キー(Justin C. Key)
スペキュレイティブ・フィクション作家で精神科医。短編小説を『ザ・マガジン・オブ・ファンタジー・アンド・サイエンス・フィクション』、『ストレンジ・ホライズン』、『リアクター』、『エスケープ・ポッド』、『ライトスピード』各誌に発表。クラリオン・ウェスト・ライターズ・ワークショップの卒業生で、第一作短編集The World Wasn’t Ready for Youをハーパー・コリンズから上梓。執筆、両親との仕事、妻とのLA探検を行う以外の時間は、三人の小さな(そしてエネルギーたっぷりの!)子供たちを追いかけて過ごしている。
L・D・ルイス(L. D. Lewis)
編集者、出版社でシャーリー・ジャクソン賞を受賞したスペキュレイティブ・フィクション作家。世界幻想文学大賞とヒューゴー賞を受賞した『FIYAH』創設者かつプロジェクト・マネージャー。賞を受賞したポッドキャストLeVar Burton Readsのリサーチャーで、ラムダ文学賞のプログラム・運営責任者でもある。著書にA Ruin of Shadows、短編小説や詩が『FIYAH』、『ポッド・キャッスル』、『ファイアサイド・マガジン』、『ストレンジ・ホライズンズ』、『アナテマ――スペック・フロム・ザ・マージンズ』、『ライトスピード』、『ネオン・ヘムロック』各誌ほかに掲載されている。ジョージア在住のルイスは常に締め切りを抱え、コーヒー好きで、二匹の猫といかしたLEGOビルドのコレクションとともに暮らしている。
ンネディ・オコラフォー(Nnedi Okorafor)
数々の国際的受賞歴を誇る、『ニューヨーク・タイムズ』紙ベストセラー作家で、大人・ヤングアダルト・子供向けのスペキュレイティブ・フィクションの著者。彼女の作品をより具体的に表現する用語が、「アフリカンフューチャリズム」と「アフリカンジュジュイズム」。主な受賞は、世界幻想文学大賞、ネビュラ賞、アイズナー賞、ロードスター賞、複数部門のヒューゴー賞、ノンモ賞。回想録Broken Places & Outer Spacesはローカス賞候補作に選ばれた。マーベル・コミックスの作品も手がけ、Black Panther: Long Live the King、(ドーラ・ミラージュを主役にした)『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』、シュリのシリーズなどがある。現在HBOやアマゾン、20世紀フォックスなどのテレビ・シリーズで映像化されている作品もある。ニール・ゲイマン、グギ・ワ・ジオンゴ、ジョージ・R・R・マーティン、リック・ライアダンらが彼女の作品を支持。文学上の師匠としては、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、アーシュラ・K・ル゠グウィン、そしてナワル・エル・サーダウィも彼女の作品を愛読していた。文学博士号と修士号をふたつ(ジャーナリズムと文学)取得、アリゾナ州立大学の実務教授。娘のアニアゴと共にフェニックス在住。さらなる情報はnnedi.comにて。
Xのアカウントは@nnedi、インスタグラムは@nnediokorafor。
トチ・オニェブチ(Tochi Onyebuchi)
代表作に、『タイム』「二〇二二年必読書一〇〇」、『ガーディアン』紙二〇二二年ベストSF・ファンタジー五作に選ばれた長篇Goliath がある。それ以前の作品に、Riot Baby(ヒューゴー、ネビュラ、ローカス、NAACPイメージ・アワード最終候補、ニューイングランド図書賞、ALAアレックス賞、世界幻想文学大賞受賞)、シリーズBeasts Made of Night 、War Girlsがある。イエール大、ニューヨーク大ティッシュ芸術学部、コロンビア大学ロースクール、パリ政治学院で学位を取得。短篇はThe Best American Science Fiction and Fantasy、The Year’s Best Science Fictionなどさまざまな年間ベストに選ばれている。(S)kinfolk をはじめノンフィクションの著作もあり、『ニューヨーク・タイムズ』紙、The Harvard Journal of African AmericanPublic Policy などに発表、NPRでも放送されている。またマーベル・コミックスの短期シリーズBlack Panther: Legendsや、Captain America: Symbol of Truth(サム・ウィルソンがキャプテン・アメリカ)などの脚本も担当。
レベッカ・ローンホース(Rebecca Roanhorse)
『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラー作家で、ヒューゴー、ネビュラ、イグナイト各賞の受賞者。レベッカは短編小説で数々の賞を受賞し、その成果を『エイペックス・マガジン』、アンソロジーThe Mythic Dream、『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』のノベライズ版アンソロジー、そしてアンソロジーA Phoenix First Must Burnで発表。ポッドキャストLeVar Burton Readsでも、アマゾン・オリジナル・ストーリー・シリーズの一環として作品を発表。レベッカはまた長編小説も執筆し、そのうちの二編は「第六世界」シリーズ作品のStar Wars:Resistance RebornおよびBlack Sun and Fevered Starで、いずれも叙事詩ファンタジー・シリーズ「地と天の間」の一環である。シリーズ最終作品Mirrored Heavensは二〇二四年に刊行。レベッカはマーベル・コミックスにもPhoenix Song: Echo, Crypt of Shadows (ムーン・ナイト/ウェアウルフ・バイ・ナイト関連作品)や Women of Marvel (シー・ハルク関連作品)といった作品を発表。テレビ作品も執筆し、各種プロジェクトをアマゾン・スタジオやネットフリックス、AMCスタジオ、ジョン・レジェンドのGet Lifted Film Co.などとオプション契約している。本アンソロジー収録作は、テキサス州シダーヒルで受賞歴のある人形作家をしていた叔母に捧げられている。
ニコール・D・スコニアーズ(Nicole D. Sconiers)
生まれはペンシルベニア州フェニックスヴィル、カルト的人気の名作映画『ブロブ/宇宙からの不明物体』の撮影が行われた小さな町。子供時代は『マッド』と『ファンゴリア』を読み、気味の悪い物語を書いて過ごした。暗い話と社会正義の問題に強い関心があり、アンティオック大学ロサンゼルス校でクリエイティブ・ライティングの修士号を取得。複雑な黒人の女性主人公を中心にした物語に、ホラーとスペキュレイティブ・フィクション、ユーモアを混ぜ合わせる。スペキュレイティブ・フィクションの短篇集Escape from Beckyville: Tales of Race, Hair and Rageは全国の大学で教材に使われている。『ナイトメア』、『ライトスピード』、『スペキュレイティブ・シティ』、ホラーフィクションのポッドキャストNIGHTLIGHT 、スペルマン大学の文芸誌『アーント・クロイ――ア・ジャーナル・オブ・アートフル・キャンダー』などに作品が掲載される。アンソロジーのBlack From the Future: A Collection of Black Speculative Writing、December Tales とブラム・ストーカー賞最終候補作になったSycorax’s Daughtersに収録の短篇小説もある。ペンシルベニア州在住、独学の油絵画家でもある。現在、小さな町にまつわるホラー短篇集に取り組んでいる。
リオン・アミルカー・スコット(Rion Amilcar Scott)
短編集The World Doesn’t Require You、デビュー作品に与えられるPEN/ビンガム賞と南部作家協会のヒルズデール賞を二〇一七年度に受賞したInsurrectionsがある。メリーランド大学でクリエイティブ・ライティングを教える。『ニューヨーカー』、『ケニヨン・レビュー』、Best American Science Fiction and Fantasy 2020、『クラブ・オーチャード・レビュー』などに作品を発表。
テレンス・テイラー(Terence Taylor)〔terencetaylor.com〕
生活と執筆活動の拠点をブルックリンのゴワヌスに置く。ときにミューズにもなる黒猫のシュリと同居。PBS(公共放送サービス)、ケーブルテレビ・チャンネルのニコロデオンやディズニーなどの受賞歴ある子供番組で執筆し、子供たちを元気づけていた年月の後、その親たちを活字で恐がらせることに転じた。短篇小説Plaything が、アフリカ系アメリカ人作家の初のホラーサスペンス・アンソロジーとなったブランドン・マッシー編Dark Dreamsに収録される。続く二、三巻めにも掲載され、短篇小説とエッセイを『ライトスピード』、『ファンタスティック・ストーリーズ・オブ・ジ・イマジネーション』、What the #@&% Is That?: The Saga Anthology of the Monstrous and the Macabre、The Canterbury Nightmaresなどで発表。彼の初の長篇小説Bite Marksは、意図的ではないが大惨事を招くことになる幼子アンデッドの創造をめぐる現代版グランギニョールである。『パブリッシャーズ・ウィークリー』で「一九八〇年代のニューヨークを舞台にした、生々しく映像化向きの超自然的ノワール」という星付きレビューに恵まれ、続けてBlood Pressureを発表。第一作で生きのびた人間とヴァンパイアを新たな脅威が襲う二十年後の物語。まもなく、高まる恐怖が世界の終わりをもたらす危機にある二〇二七年を舞台にしたPast Lifeをもってこの三部作を完結する予定。
キャドウェル・ターンブル(Cadwell Turnbull)
The Lesson; No Gods, No MonstersやWe Are the Crisisなどの著書で知られる。『ザ・ヴァージ』、『ライトスピード』、『ナイトメア』、『アシモフズ・サイエンス・フィクション』といった雑誌やThe Best American Science Fiction and Fantasy 2018や The Year’s Best Science Fiction and Fantasy 2019などのアンソロジーに短編小説を発表。長編小説The Lessonは、二〇二〇年度ニューコム・インスティテュート文学賞の新人賞部門を受賞。同作はVCUキャベル賞の最終候補となり、マサチューセッツ・ブック・アワードで一次選考を通過した。No Gods, No Monstersはラムダ賞受賞、シャーリー・ジャクソン賞の最終候補作品となった。アメリカ領ヴァージン諸島のセント・トーマス出身。
[編者]
ジョーダン・ピール(Jordan Peele)
さまざまな賞に輝いた作家、製作者、映画監督。二〇一七年公開の『ゲット・アウト』は高い評価を得、アカデミー賞四部門にノミネートされ、ピールは最優秀オリジナル脚本賞を受賞。二〇一九年には第二作『アス』の脚本、製作、監督を担当し、一般観客からも批評家からも人気のスマッシュヒットとなり、オリジナルホラー映画ととしては史上最大の公開週興行成績を記録。二〇二二年夏には第三作のSFホラー叙事詩『NOPE/ノープ』を公開、こちらも公開週興行成績第一位となった。ピールとモンキーポー・プロダクションズはヘンリー・セリック監督のコマ撮り映画Wendell & WildをNetflixで発表、ピールは共同脚本、製作のほか声優も担当した。『ゲット・アウト』以前にはピールはコメディ・セントラルのコメディ番組Key & Peeleの共同制作者だった。五シーズンに渡る番組の個性的なスケッチコメディはオンラインでヴァイラル化した。二〇一二年には映画テレビ制作会社モンキーポー・プロダクションズを設立し、ジャンル作品を通じた今までにないストーリーテリングに挑んでいる。
ジョン・ジョーゼフ・アダムズ(John Joseph Adams)
Best American Science Fiction and Fantasyのシリーズエディターで、Wastelands、The Living Dead、A People’s Future of the United Statesなど四〇冊を超えるアンソロジーの編集を担当。ヒューゴー賞を受賞した雑誌『ライトスピード』の編集者でもあり、その姉妹誌『ナイトメア』の創刊から最初の一〇〇号まで編集を務めた。両誌の発行者として、二〇一四年から二〇一六年にかけて、すべて女性、LGBTQ、そしてBIPOC(黒人、先住民、有色人種)のクリエイターによって執筆・編集された特別シリーズDestroyを刊行し、高い評価を受けた。
短編小説の編集をしていないときは、WIREDのポッドキャストThe Geek’s Guide to the Galaxyのプロデューサーを務め、さらに五年間、ホートン・ミフリン・ハーコート社で自身の名を冠した小説の出版ブランドの編集者をしていた。最近では、Kobold PressやMonte Cook GamesのさまざまなテーブルトークRPGのプロジェクトで、編集者(そして時にはゲームデザイナー)として活動している。
[監訳]
ハーン小路恭子(はーんしょうじ・きょうこ)
専修大学教授。著書に『アメリカン・クライシス──危機の時代の物語のかたち』、ホラー関連の論考に「「黒の恐怖」を奪回せよ──黒人ホラー映画史における創造的プロセスをめぐって」(杉野健太郎編『映画史の論点──映画の〈内〉と〈外〉をめぐって』所収)がある。訳書にローレン・バーラント『残酷な楽観性』(岸まどかとの共訳・近刊予定)など。
[訳]
今井亮一(いまい・りょういち)
1987年生まれ。立正大学講師。著書に『路地と世界──世界文学論から読む中上健次』、『スローでディープな英文精読──〈ことば〉を極限まで読み解く』(共著)など。訳書に『スヌーピーがいたアメリカ──『ピーナッツ』で読みとく現代史』、『数の値打ち──グローバル情報化時代に日本文学を読む』(共訳)など。
押野素子(おしの・もとこ)
平日は米法律事務所に勤務するパラリーガル、夜間および週末は黒人文化・歴史に関する書籍を日本に紹介するストリート系野良翻訳者として活動。訳書に『アフロフューチャリズム』、『評伝モハメド・アリ』、『ヒップホップ・ジェネレーション』、『フライデー・ブラック』など。ワシントンD.C.近郊在住。
柴田元幸(しばた・もとゆき)
1954年生まれ。米文学者、東京大学名誉教授、翻訳家。アメリカ現代文学中心に訳書多数。著書に『アメリカン・ナルシス』、訳書にジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』、マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒けん』、エリック・マコーマック『雲』など。文芸誌『MONKEY』日本語版責任編集、英語版編集。
坪野圭介(つぼの・けいすけ)
成城大学准教授。著書に『遊園地と都市文学──アメリカン・メトロポリスのモダニティ』、訳書にベン・ブラット『数字が明かす小説の秘密──スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』、パトリシア・ハイスミス『サスペンス小説の書き方──パトリシア・ハイスミスの創作講座』、ホイト・ロング『数の値打ち──グローバル情報化時代に日本文学を読む』(共訳)など。
福間 恵(ふくま・めぐみ)
現在、東京大学文学部大江健三郎文庫勤務。訳書にアンドレイ・クルコフ『侵略日記』『戦争日記』(近刊予定)、デイヴィッド・ダムロッシュ『ハーバード大学ダムロッシュ教授の世界文学講義』(共訳)、マイケル・バード、オーランド・バード『作家たちの手紙』(共訳)など。