個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論

土居伸彰=著
発売日
2016年12月20日
本体価格
2,800円+税
判型
四六判・上製
頁数
400頁
ISBN
978-4-8459-1628-3
Cコード
C0074
備考
品切

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世界の短篇・インディペンデントアニメーションの動向に精通し、理論と実践両面においてその最前線に立つ気鋭の論客による、渾身の現代アニメーション論かつ「アニメーション正史」への挑戦の書。

巨匠ユーリー・ノルシュテインの代表的作品『話の話』を糸口に、個人(インディペンデント)作家たちの創造性の系譜と達成を読み解き、初期アニメーション〜ディズニー、アニメーション・ドキュメンタリーや世界の長編アニメーション、デジタル時代の新たな原理、さらには宮崎駿・高畑勲など現代日本のアニメにまで射程は及ぶ、「アニメーション正史」への挑戦の書。

さまざまな潮流との接続のなかで新たな「アニメーション」の輪郭を引き直し、その現在と全貌、未来の道行きをも明らかにする独創的なアニメーション史、堂々の刊行!

メディア掲載


目次

第0章 『話の話』という「謎」
『話の話』という謎めいた作品
本書のアプローチ──『話の話』を国際的な個人作家の文脈で考える
本書のねらい──「個人的な」作品をベースにアニメーションの歴史を再編する

第1章 「われわれのすべてが自分の木々をもっているのです」
「アニメーション映画」の想像力
「違ったふうに」世界を感じる
アニメーションの起源を探る──「アニメーション映画」の誕生と発展
「アニメーション映画」の堕落と忘却
フレームの「間」に生まれる「個人的な」時間

第2章 「すべての文明から離れた隠れ家へ…」
「アニメーション映画」の小さな革命
ノルシュテイン作品における取り残された場所
アニメーションの現実変革
「アニメーション映画」とディズニーのパラレル
「アニメーション映画」の社会性
世界の片隅に生まれる刹那の「永遠」

第3章 「私は現実から書き写すのだ…」
『話の話』とデジタル・アニメーションの不安定な現実
「書き写す」詩人
「原形質性」再考
デジタル・ロトスコーピングと不安定な現実
流動する記憶とアイデンティティ

第4章 「メタファーは世界の扉を開け放つ」
アニメーションの原形質的な可能性
フレームの「向こう側」
アニメーションを「芸術」とするために
他者に宇宙を見いだす
幽霊たちの視線を感じる
幻視者の瞳

結論


あとがき

フィルモグラフィー 参考文献 索引

プロフィール

[著]
土居伸彰(どい・のぶあき)
1981年東京生まれ。アニメーション研究・評論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。株式会社ニューディアー代表取締役、新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター。ユーリー・ノルシュテインをはじめとした世界の短篇・インディペンデント作品を中心としたアニメーションの理論的・歴史的研究をするかたわら、執筆、講演、キュレーション、上映企画、劇場用配給等を通じて、国内外の優れた作品の紹介を行っている。