皆殺し映画通信

破滅へあと三歩

柳下毅一郎=著
発売日
2025年9月26日
予価
2,200円+税
判型
四六判・並製
頁数
192頁
ISBN
978-4-8459-2503-2
Cコード
C0074
ブックデザイン
山田英春
カバーイラスト
我喜屋位瑳務

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洋画大不振時代の到来、日本映画大復活(アニメばっかりだけどな)!
あなたの知らない映画の世界は、まだまだ続く

スクリーンから洋画が消え、アニメーションが上映ホールを埋め尽くすいま、
日本映画は新たな黄金時代へと向かうのか、それとも大爆発ビッグバンが待っているのか。

孤高の映画評論家・柳下毅一郎が、真の「最先端の日本映画」とともに現代を問う。

皆殺し映画評論、見参!

◎日本映画 26本
◎映画評論家・轟夕起夫との現代日本映画の隆盛を分析するイベント対談を採録


目次

『Me? Xavier!』
なぜこんな映画を作ったのか――なぜザビエルなのか? なぜミュージカルなのか? ひたすら謎なばかりである

『野球ユーチューバー有矢』
YouTubeに夢をいだき、YouTubeに裏切られる悲しい男の話が映画に
それにしても野球YouTuberとはなんなのか

『レディ加賀』
能登地震、東日本大震災、コロナ禍の三度の危機を乗り越えてきた加賀温泉に能登半島地震
ぜひ加賀温泉に行きましょう!

『フィリピンパブ嬢の社会学』
非合法に片足突っ込んだフィリピンパブ地方映画で町おこしとは春日井市も立派である

『劇場版マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』
「即興劇ミステリーも、見ている側にとっては単に下手な演技

『四月になれば彼女は』
そうかこいつも岩井俊二フォロワーだったか! 岩井俊二的記号が飛び交うエセ岩井俊二映画

『大阪男塾・炸』
キャバクラ映画があるならホストクラブが映画を作ってもいいじゃないか!
というわけで大阪ミナミのホストクラブが製作。主役は現役ホスト!

『大阪カジノ』
「大阪シリーズ第10弾!」って知らないよ!
まるで誰も知らない映画を延々と見続けているのに一向に知名度のあがらない皆殺し映画通信!

『輝け星くず』
兵庫県明石市発の家族映画は「恋人はシャブ中」
たとえ愛があろうと薬物中毒は乗り越えられない

『初めての女』
こんなタイトルつけてあたかもいい話みたいに語ってしまう無自覚なミソジニーっぷりが、町興しの映画としては完全に失敗しているのではと思わずにいられない

『岡野教授の高校協奏譚』
待ってました! と言っても待っていたのはこの世で俺一人であろう、四年ぶり第三弾
次回作は作られないままシリーズ終了なのでしょう

『幽霊はわがままな夢を見る』
地方映画といえば、東京で夢破れたアラサー女子が故郷に帰る話だ、と喝破したグ・スーヨン
それがなんでこうなるの?

『逃走中 THE MOVIE』
バラエティ番組をドラマにして劇場版とか、いったい何を考えているのかと思ったら、世にも安易な映画化脚色がまた一本

『私が俺の人生⁉』
いまどき『転校生』かよ! 百万回擦りたおされたネタを、今更本当になんのひねりもないままに……

『ザギンでシースー⁉』
銀座四丁目交差点にある公衆電話のタイムマシンでタイムトラベル
ザギンのシースー屋は出てきません。じゃあなんなんだこのタイトル!

『つぎとまります』
「日本一のバス運転手」を目指す新人バス運転手が主人公のバス映画が誕生
しかしほとんど事件らしい事件も起こらない……

『ル・ジャルダンへようこそ』
銀座の高級クラブのコロナ禍の日々を描く「コロナ・エクスプロイテーション映画」
銀座のクラブみんな滅べば世の中ちょっとはマシに……

『本を綴る』
地方の本屋で「いやあすばらしいですねえ」と吉田類のようなおべんちゃらを言い、また次の本屋へ……
その数珠つなぎで作られた書店応援ロードムービー

『カーリングの神様』
カーリングの神様は、手に珠を握った龍のかたち……ってドラゴンボールのシェンロンじゃないか!
そんな使いまわしみたいな神様でいいのか!

『てっぺんの剣』
『侍タイムスリッパー』以上に、あんたなんのために来たの?と問いたくなる無意味タイムスリップ映画

『重ねる』
「史上初、釣り恋愛映画」鮎は美味しそうだし、カメラはしっかりしていたけれど、なんでこんなドラマにしたのかはさっぱりわからず

『聖☆おにいさんTHE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』
福田雄一映画、二年ぶりの登場。このまま消え去ってしまうのか……
とほのかな希望さえ抱きつつあったのに

『海の沈黙』
倉本聰原作・脚本。構想六十年、巨匠が映画の脚本を書くのは三十六年ぶり……
ともなるといろいろ忘れてることもあるみたいで

『グランメゾン・パリ』
正月映画の大本命はTBS放映の連続ドラマの映画版完結編
またこのパターンか……

『おらが村のツチノコ騒動記』
地方映画兼UMA映画、こんな美味しいネタを見逃せるわけがない!

『スオミの話をしよう』
男の身勝手さに翻弄される女性を描くつもりがただの悪女に、上から目線のいつもの三谷幸喜流コメディができあがった

◉皆殺し映画通信LIVE収録
第一部 皆殺し映画2024総決算
第二部 皆殺し映画放談2024
柳下毅一郎(映画評論家) × 轟夕起夫(映画評論家)

皆殺し映画リスト

プロフィール

[著]
柳下毅一郎(やなした・きいちろう)
1963年大阪府生まれ。英米文学翻訳家、映画評論家。訳書にアラン・ムーア+エディ・キャンベル『フロム・ヘル』(みすず書房)、ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)、J・G・バラード『クラッシュ』(東京創元社)、ジョン・ウォーターズ『ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク』(国書刊行会)、『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』(青土社)、『厄介者のススメ ジョン・ウォーターズの贈る言葉』(フィルムアート社)ほか多数。著書に『興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史』(青土社)、『新世紀読書大全 書評1990-2010』(洋泉社)などがある。

柳下毅一郎の皆殺し映画通信
https://www7.targma.jp/yanashita/
有料WEBマガジンとして、2012年12月1日よりスタート。日本映画を中心として、最新映画評が読める! 柳下毅一郎の出没情報もあり。