「論理」だけでは人の心は動かない。
「修辞学」を駆使すれば必ず伝わる!
ロゴス(理路)によって主張を整え、
聞き手を引き付けるパトス(感情)を働かせ、
エトス(人間性)をもって言葉の芯を支えていく。
古代ギリシャ時代から変わらない
「明晰に伝える」「楽しませる」「心を動かす」ための26のルール。
人前で話す人、文章を書く人の必携書。
【巻末には練習問題を収録】
「彫刻家のねらいは、さすが彫刻家だと思わせることにある。
言葉巧みな者のねらいは、よもや言葉巧みだなどとは思わせないことにある」
──G・K・チェスタトン
言葉の力で人の心を動かし、相手の行動を引き出す──
そのための技術を体系的に解き明かすのが、本書で扱う〈修辞学〉です。
アリストテレスの時代から一貫して、修辞学の核心は〈説得〉にありました。
本書は、小説や脚本といった創作の場面のみならず、ビジネスにおける交渉やスピーチ、学校での発表、討論など、あらゆる領域で応用可能な普遍的原理を、26の明快なルールとして整理しています。キケロ、アウグスティヌス、シェイクスピア、エラスムス、リンカーン、ディケンズ、チェスタトン、C・S・ルイスらの言語技法を参照しながら、古代の弁論術に培われた知見と文学・思想の伝統を手がかりに、「明快に、そして効果的に伝えるための技術」を丁寧に解説します。
例えば、本書では、
◎説得を支える三要素(ロゴス・パトス・エトス)の働かせ方
◎文章構成の組み立て方
◎論理的誤謬を見抜き、回避する方法
◎読者や聴衆の感情に届く言葉の選び方
など、修辞学のエッセンスを豊富な実例とともに具体的に示しています。
話すことや書くことを生業とする人にとっては、常に手元に置いておきたくなる指南書として、
学生にとっては発表やレポート作成の確かな支えとなる一冊です。
〈伝えること〉、〈楽しませること〉、〈心を動かすこと〉──
言葉をめぐるあらゆる実践に寄り添う、説得技法の本格的かつ親しみやすい入門書が待望の邦訳。
古代以来、修辞学の本領は説得にあると言われてきた。古代ローマでは政治的演説だけでなく、法廷における訴訟・弁護のためにこの技術が使われてきたという。[…]
このように言葉によって人の心を動かし、こちらの期待する行動を相手にさせるためには、どのようにすればよいのか。その技術を解くのが本書で扱うことになる〈修辞学〉という、かつて自由学芸七科のひとつとして重要視されたものなのである。
この本を読もうとしている人は、話す人だろうか、それとも書く人だろうか。人前で話す人なら、修辞学は目の前の相手の関心を惹きつける技術になるだろう。もし物語を書く人なら、登場人物に魅力的な演説をさせたり、事件の推理を説得力たっぷりに語らせたり、会話の主導権を握らせたりするときに、修辞学の基礎が大きな効果を発揮するはずだ。
本書の始まりは言葉の細部から始まるが、すぐに内容そのものに進んでいくので、最初でつまずかずにぜひ一気に読んでほしい。
──本書「訳者まえがき」より抜粋
目次
訳者まえがき
第1章 ロゴス──筋道の立った話し方
第2章 パトス──場面に合った気持ち
第3章 エトス──人に信頼される人徳
第4章 話し手のねらい
第5章 話すことの組み立て
第6章 花咲く修辞の園
第7章 初めの想いと締めくくり
学習の手引き
ルール一覧
練習問題
文献紹介
プロフィール
[著]
ライアン・N・S・トッピング(Ryan N.S. Topping)
カナダ生まれ。専攻は神学、カトリック教育哲学、古典哲学など。神学博士(オックスフォード大学)。アメリカのトマス・モア自由学芸大学、カナダのニューマン神学大学を経て、現在カトリック文化の教育研究のための機関を設立準備中。カトリック信仰に関する著書も多数ある。
[訳]
大久保ゆう(おおくぼ・ゆう)
翻訳家。幻想・怪奇・探偵ジャンルのオーディオブックや書籍のほか、絵画技法書や映画・アートなど文化史関連書の翻訳も手がけ、芸術総合誌『ユリイカ』(青土社)にも幻想文芸関連の寄稿がある。代表的な訳業として、『猫にご用心――知られざる猫文学の世界』(編訳・soyogo books)、アーシュラ・K・ル゠グウィン『文体の舵をとれ──ル゠グウィンの小説教室』(フィルムアート社)、『現想と幻実──ル゠グウィン短篇選集』(共訳・青土社)がある。
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