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《First Archives》特設サイト

フィルムアート社は文芸の新シリーズ First Archives を創刊します。

倉本さおり・滝口悠生・町屋良平の3名が選者となり、文芸誌に発表された小説や入手が困難になっている書籍のなかから、あらためて読み直されるべき作品を刊行していくシリーズです。

文学には、発表時に大きな反響を呼びながらも単行本として読まれる機会を持たないまま時間が過ぎていってしまうことが少なくありません。

First Archives は、そうした作品をはじめて書物として残し、文学の記録として手渡していくための試みです。

発表から時を経て、こうして刊行される作品が、新たな読者との出会いを生むことを願っています。


倉本さおり

時間にみがかれた小説の言葉は、後からたどりついた読者の足許でするどく光り、世界の見え方も変えていく。「書くこと」の今と「読むこと」の未来が詰め込まれた鉱脈──それがFirst Archivesというシリーズの姿だと信じている。

滝口悠生

いきすぎたがゆえに、なんかよくわかんないけどすごい、みたいな反応しかできない小説がある。
このプロジェクトは、そんな小説のおもしろさを取り戻すためのアクションです。

町屋良平

荻世いをらの控え目に言ってすさまじい小説がなんとか本にならないだろうかとの模索がことの始まりだった。なぜなら、小説において、私は〝まだ見たことのないもの〟を見たいという幻想に憑かれていて、その幻想を信じさせてくれる作品からでないと、これからの新しい小説家、そして新しい読者は生まれえないと信じきってしまっているせいだ。そしてそうした幻想を本気で信じさせてくれる作品は極めて少ない。本シリーズは、その最低限のインフラとなるだろう。


近日公開予定


【第一回配本】
荻世いをら『彼女のカロート
(収録作「彼女のカロート」「宦官への授業」)
推薦・解説…千葉雅也、江南亜美子
2026年4月25日発売予定

【第二回配本】
岡崎祥久『キャッシュとディッシュ』
(収録作「キャッシュとディッシュ」「秒速10センチの越冬」)
推薦…斎藤真理子、スケザネ
解説…倉本さおり
2026年6月刊行予定

以降続刊予定。


荻世いをら
彼女のカロート

発売日:2026年4月25日
予価:2,000円+税
判型:四六判・並製
頁数:256頁(予定)
ISBN:978-4-8459-2529-2
Cコード:C0093

耳が聞こえなくなった女性アナウンサーからの依頼は、彼女自身のために新しい墓をつくってほしいというものだった。彼女とのどこかちぐはぐなやりとりが主人公の日常を静かに侵食していく表題作「彼女のカロート」。読むことに困難を抱えながら文学に殉じる青年がある〈宝物〉をめぐるシュールな冒険に巻き込まれていく「宦官への授業」。発表時に読者を衝撃と驚嘆の渦に巻き込んだ、1行ごとに読む快楽に包まれる2篇を収録。

「彼女のカロート」は、小説だけでなく、広い意味での「書くこと」を後押しする触媒としての力を発している作品だと思う。本作がさらに広く読まれ、人々にヒントを与えることを願ってやまない。──千葉雅也(哲学者・作家/本書解説)

当時も興奮し、いままた興奮が新鮮に胸に迫るこのテキストを、もしかすると作者名すらしらなかった新しい読者に手渡せることは、奇跡あるいは僥倖としかいいようがない。──江南亜美子(書評家/本書解説)

プロフィール

荻世いをら (おぎよ・いをら)
1983 年生まれ。2006 年「公園」で第43 回文藝賞を受賞しデビュー。著書に『公園』『東京借景』『ピン・ザ・キャットの優美な叛乱』がある。

岡崎祥久
『キャッシュとディッシュ』

収録作「キャッシュとディッシュ」「秒速10センチの越冬」
6月発売予定
四六判・並製

プロフィール

岡崎祥久[オカザキ・ヨシヒサ]
1968年生まれ。「秒速10センチの越冬」で第40回群像新人賞を受賞しデビュー。『楽天屋』で第22回野間文芸新人賞を受賞。著書に『秒速10センチの越冬』『楽天屋』『南へ下る道』『首鳴り姫』『昨日この世界で』『ctの深い川の町』『ファンタズマゴーリア』がある。文芸書以外にも『文学的なジャーナル』『バンビーノ』『独学魔法ノート』『千年ギツネ』『ポシーとポパー ふたりは探偵 魔界からの挑戦』があるが、フィクションではない著書はない。[著者note]https://note.com/oaai_oiia