クリストファー・ノーラン

時間と映像の奇術師

イアン・ネイサン=著
阿部清美=訳
発売日
2023年7月20日
本体価格
3,000円+税
判型
B5判・変形
頁数
240頁
ISBN
978-4-8459-2142-3
Cコード
C0074
ブックデザイン
石島章輝(イシジマデザイン制作室)
原題
Christopher Nolan: The Iconic Filmmaker and His Work
映画監督評伝4冊セット(20%OFF)

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考えついたのが、観客の頭に入り込み、その頭を回転させ、観客自身に構築させる映画を作る、というアイデアだった。
――クリストファー・ノーラン

フィルム・ノワールの時間を切り刻み、スーパーヒーロー映画にリアリズムをもち込み、スパイ・アクションとSFを融合させる……
長編デビュー作『フォロウィング』から最新作『Oppenheimer』まで、芸術性と商業性を兼ね揃えた特異点クリストファー・ノーランの歩み。

現代の映画界で最も著名で最も成功した映画監督のひとり、クリストファー・ノーラン。
複雑極まりない展開や難解な設定にもかかわらず、彼の作品は、幅広い層の観客を虜にする。

クリストファー・ノーランをカテゴライズするのは容易ではない。イギリス人の父とアメリカ人の母のもとに生まれ、両国の国籍をもつノーランは、イギリス人ともアメリカ人とも言えない(同時にイギリス人でもアメリカ人でもあるとも言える)。また彼は映画監督であるだけでなく、建築家、芸術家、科学者とも言え、ロマンチックな伝統主義者でありながらも、前衛的な急進主義者でもあるという矛盾を抱えた存在だ。

本書は、ノーランの謎に満ちた発言や動機を読み解き、作品ごとに、インスピレーションの源泉、熱意、飽くなき挑戦の連続である撮影法、そして成功への軌跡を解説する。スタンリー・キューブリック、スティーヴン・スピルバーグ、フリッツ・ラング、マイケル・マン、アルフレッド・ヒッチコックといった映画監督のみならず、作家のホルヘ・ルイス・ボルヘスやレイモンド・チャンドラー、画家のM・C・エッシャー、建築家のルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエなど、ハリウッドの法則に逆らうこの男を形成してきた人々にスポットライトを当てていく。また『スター・ウォーズ』や『ブレードランナー』、『パルプ・フィクション』、『AKIRA』などノーランの監督作に影響を与えた作品についても紹介する。

図版を多数引用しながら長編デビュー作『フォロウィング』から、ノーランを一躍有名にした『メメント』、スーパーヒーロー映画を革新した「ダークナイト・トリロジー」、エッシャーの世界に時間を取り込んだ『インセプション』、キューブリックとスピルバーグのハイブリットとも言える『インターステラー』、時間の概念に挑戦した『TENET テネット』といった多彩な作品群、そしてこの夏北米で公開予定の最新作『Oppenheimer』まで、作品に秘められた核心とそのインスピレーション源を検証した、ファン必携の一冊。

ノーランは不可能なことを成してきた──個人的かつ独創的で、大概の場合、素晴らしい、見事に一貫したスタイルを、映画スタジオシステムの「内側で」ずっと追い求めている。あるいはもっとシンプルに表現するなら、彼は決して妥協をしない。声を荒らげる必要もなく、冷静かつ慎重で、何よりも威厳のあるアプローチで「ハリウッド」に対処してきたのだ。芸術表現の道を必死に掻き分けて進んできた他の監督たちの壮大な歴史とは、大違いである。では、彼に反論する者などいるのだろうか? もしかしたら、自身の映画で本当は何が起こっているのかを正確に知っている人物は、それを作ったノーランだけなのかもしれない。(本書「イントロダクション」より)


目次

イントロダクション

ハイブリッド・キッド 幼少期から『フォロウィング』(1998)に至るまで
鏡の国のアリス 『メメント』(2000)&『インソムニア』(2002)
脅しのゲーム 『バットマン ビギンズ』(2005)
転送された男 『プレステージ』(2006)
なんだそのしかめっ面は? 『ダークナイト』(2008)
目がくらむほどの明晰夢 『インセプション』(2010)
ビッグ・グッドバイ 『ダークナイト ライジング』(2012)
5次元 『インターステラー』(2014)
渚にて 『ダンケルク』(2017)
終末論的な思考 『TENET テネット』(2020)&『Oppenheimer』(2023)

出典

プロフィール

[著]
イアン・ネイサン(Ian Nathan)
映画ライター。著書に『クエンティン・タランティーノ 映画に魂を売った男』『ウェス・アンダーソン 旅する優雅な空想家』『ギレルモ・デル・トロ モンスターと結ばれた男』(以上、フィルムアート社)『ティム・バートン 鬼才と呼ばれる映画監督の名作と奇妙な物語』(玄光社)などがある。映画雑誌『エンパイア』の編集者およびエグゼクティブ・エディターを務めた後、現在は『エンパイア』誌の他、『タイムズ』紙、『インディペンデント』紙、『メイル・オン・サンデー』紙、『カイエ・デュ・シネマ』誌などに寄稿を行っている。

[訳]
阿部清美(あべ・きよみ)
翻訳家。『SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座』『クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYOND TIME AND SPACE』(以上、DU BOOKS)といったクリストファー・ノーランに関連する書籍を翻訳。他に『ギレルモ・デル・トロ モンスターと結ばれた男』(フィルムアート社)『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ おとぎ話の巨匠による新しい人形劇の創作術』(DU BOOKS)などの映画関連の書籍を多数翻訳している。