デイヴィッド・リンチ

幻想と混沌の美を求めて

イアン・ネイサン=著
中山宥=訳
発売日
2024年2月23日
本体価格
3,200円+税
判型
B5判・変形
頁数
310頁
ISBN
978-4-8459-2321-2
Cコード
0074
原題
David Lynch: A Retrospective

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何かをつくり、かたちにする。それで終わりだ。
――デイヴィッド・リンチ

カルトの帝王にしてポップ・カルチャーのアイコン、映画界のアウトサイダーにして巨匠、デイヴィッド・リンチ。
『イレイザーヘッド』から『ツイン・ピークス The Return』まで、汲み尽くせぬアイデアに始まる妥協なき創造行為の軌跡を辿る。

アメリカ映画史上「最も過激で、強烈で、奇妙で、滑稽で、恐ろしく、深遠で、忘れがたい作品」を生み出したデイヴィッド・リンチ。

1960年代の実験的な短編作品や『イレイザーヘッド』、『エレファント・マン』、『ブルーベルベット』、『マルホランド・ドライブ』などの長編映画、そしてTVシリーズ『ツイン・ピークス』『ツイン・ピークス The Return』。
長年にわたり、リンチの作品は見る者を魅了し、挑発してきた。

本書は「リンチアン(Lynchian)」を理解するための探究書である。「リンチアン」とは「リンチの映画ならではのスタイル、感覚、雰囲気、物語の語り口、登場人物のタイプ、ジャンルのアレンジ、話しかた、風景、街、ユーモアとホラーの融合、現実というヴェールの向こう側への旅、心の奥底にある欲望の考察、リンチが故郷と呼ぶ国の奥深くへの探検」を意味する言葉だ。

中産階級の愛情深い両親のもとで幼少期を過ごし、ユーモア雑誌やボーイスカウトに夢中になったデイヴィッド・リンチは、やがて芸術家の道を志し、フィラデルフィアのペンシルヴェニア美術アカデミーへ入学する。のちに「腐敗し、衰退していて、奇妙に邪悪で、暴力的で、恐怖に満ちていた」と述懐するこの街で、リンチは自分のめざすべき道は「動く絵画」であると気づく――。

本書では、リンチの長編映画10本とTVシリーズ2本について詳しく解説するとともに、彼の生い立ちや多様で豊富な芸術や表現がどのように作品に影響を与えたのか、貴重な場面写真やオフショットとともに、「リンチアン」の謎に迫る。

自らの理想と想像力に従って作品を作り続け、映画のストーリーテリングの限界を押し広げてきた唯一無二の映画監督の本格評伝。


目次

イントロダクション
特定の都市への恐怖
悩ましく暗き物どもの夢 『イレイザーヘッド』の内幕
皮膚の下 『エレファント・マン』の驚くべき真実
迷える宇宙 『デューン/砂の惑星』の苦悩と驚異
わが家に勝る所なし 偉大なる倒錯 『ブルーベルベット』
大衆向けのマグリット 『ツイン・ピークス』のテレビ版と映画版の奇妙な事件
オズの国へひた走るエルヴィスとモンロー 『ワイルド・アット・ハート』の逃避行
イン・ザ・ループ 『ロスト・ハイウェイ』を解き明かす
芝刈り機の男 涙腺を刺激する『ストレイト・ストーリー』
気がつけば謎のなか 『マルホランド・ドライブ』の果てしない誘惑
超現実の旅 『インランド・エンパイア』と踊り明かす
きみが好きなあのチューインガム、復活するってさ 『ツイン・ピークス』への待望の帰還
フィルモグラフィ
参考文献
謝辞

プロフィール

[著]
イアン・ネイサン(Ian Nathan)
映画ライター。著書に『クエンティン・タランティーノ 映画に魂を売った男』『ウェス・アンダーソン 旅する優雅な空想家』『ギレルモ・デル・トロ モンスターと結ばれた男』『クリストファー・ノーラン 時間と映像の奇術師』(以上、フィルムアート社)『ティム・バートン 鬼才と呼ばれる映画監督の名作と奇妙な物語』(玄光社)などがある。映画雑誌『エンパイア』の編集者およびエグゼクティブ・エディターを務めた後、現在は『エンパイア』誌の他、『タイムズ』紙、『インディペンデント』紙、『メイル・オン・サンデー』紙、『カイエ・デュ・シネマ』誌などに寄稿を行なっている。