ルール?本

創造的に生きるためのデザイン

菅俊一/田中みゆき/水野祐=著
発売日
2024年5月18日
本体価格
2,400円+税
判型
四六判変形・並製
頁数
320頁
ISBN
978-4-8459-2144-7
装丁
UMA/design farm(原田祐馬・山副佳祐)

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ルールはあなたを縛るものではなく、この社会で自由に生きるためのもの?
世界の見え方が変わっていく、「ルール×デザイン」入門

法律や規則、マナー、習慣、自然法則……わたしたちはさまざまなルールに囲まれて生きています。

本書では、日常のさまざまな場面で遭遇するルールの存在や影響を取り上げながら、ルールを「つくる」「使う」「見直す」「更新する」ことでわたしたちの社会をアップデートしていくことを目指します。この4つのサイクルに着目し、ルールはデザインによってどのようにかたちづくることができるのか、多角的な視点から探ります。

身の回りにあるルールを意識し、自分のこととして関わり、柔軟にとらえ直すことで、ルールとポジティブに向き合うことの大切さと、ルールは私たちの思考や行動を制限するものではなく、この社会で自由に生きるためのものであることを説く、日常をデザインする創造的実践のガイドとなる一冊です。

遊び心と創造力に満ちた、新しい「ルール」本の誕生!

「ルールについての展覧会?!」と大反響を呼んだ、21_21 DESIGN SIGHTの企画展「ルール?展」(2021年)。展示期間中、オンライン予約の取れない展覧会として話題となり、TikTokやInstagramでZ世代の若者たちにも人気を博したあの「ルール?展」が、「本」となって帰ってきた!

展覧会ディレクターの菅俊一・田中みゆき・水野祐による、「ルール」についてさらに深掘りした全編書き下ろしのテキスト+座談会に、宇野重規(政治哲学者)、清水晶子(フェミニズム/クィア理論研究者)、小田原のどか(彫刻家/評論家)、細馬宏通(人間行動学者)、会田大也(ミュージアム・エデュケーター)、木ノ戸昌幸(元NPO法人スウィング理事長)の豪華執筆者による寄稿を加えて再編集・成書化。

この本では、デザインによってルールに対する見方を変えたり、逆にルールをデザインすることによって、物事や社会に働きかけたりすることを読者の皆さんとともに考えたいと思っています。
そのために、身の回りにどのようなルールがあり、他者や社会とのコミュニケーションのなかで、どのような過程を経てルールが現在の姿となっているのか、それ以外のあり方にはどのような可能性があるのかをさまざまな事例や作品を通して考えていきます。
ままならない現実と折り合いをつけながら、一人ひとりが自由に生きていくことができるようにルールをつくり変えていくことを、ルールと創造的に付き合うことだと私たちは考えています。
私たち一人ひとりがそのようにルールと創造的に付き合うことができれば、それは社会をつくり変えていくことにもつながるでしょう。
ルールという視点から、あなたにとって生きやすい社会が他の人にとっても生きやすい社会になるような未来をどのように共につくることができるのか、本書を通して一緒に考え、できることから実践してみましょう。
(本書「まえがき」より)


目次

まえがき
〈Rule? Fig.1〉 #これもルールかもしれない
〈Rule? Fig.2〉 ルール曼荼羅
〈Rule? Fig.3〉 ルールのつくられ方(法令の場合)

第Ⅰ部 入門編
1 なぜルールは必要なのか
身近にあふれるルール/この本で扱う「ルール」の範囲/拠り所としてのルール/ルールは問題から生まれる/暗黙のルール/ルールとアーキテクチャの協働関係/「守る」だけでなく「使う」ものとしてのルール

2 道具としてのルール
ルールは問題を解決するための道具/ルールを見ていくと、社会の中にある課題がわかる/ルールによってどのように問題を解決できるか/ルールをつくるときに考えるべきこと/ルールの前提にあるもの/ルールを破ったらどうなる?/つくったルールを使って、見直す

3 ルールと創造性
「創造的に使う」とはどういうことか?/なぜルールに創造性が必要なのか?/ルールをつくる創造性/ルールを使う創造性/ルールを見直す創造性/ルールを更新する創造性

〈TEXT〉
宇野重規 民主主義社会におけるルールとは何か
清水晶子 冗談を気軽には言わない
小田原のどか 社会制度と彫刻
細馬宏通 「ルール?展」:日常のルールをあぶり出すさまざまな試み
会田大也 創りながらルールを学ぶこと
木ノ戸昌幸 そんな簡単なわけがない
田中みゆき 「ルール?展」のルール:自由と制約についての覚え書き

第Ⅱ部 実践編
1 ルールをつくる
企業が生むルール(規格)/真鶴町「美の基準」(まちづくり条例)/『独立国家のつくりかた』/「コロガル公園」シリーズ/任天堂ゲーム実況ガイドライン/クリエイティブ・コモンズ/Netflix “No Rules” Rules/田中みゆき 菅俊一 野村律子《ルール?》/東京駅の空中権売買/カーボンプライシング/大麻の合法化/Whatever Co.《D.E.A.D. (Digital Employment After Death)》

2 ルールを使う
規制によって生まれる製品・サービス/佐々木隼(オインクゲームズ)《鑑賞のルール》/群れを生むルール/石川将也+nomena+中路景暁《四角が行く》《ルールが見えない四角が行く》/行列のルール/高野ユリカ+山川陸《踏む厚み》/取扱説明書のいろいろな形/『サイバーパンク2077』エンドユーザーライセンス同意書/コンタクト・ゴンゾ《訓練されていない素人のための振付コンセプト003.1(コロナ改変ver.)》/オウテカ『Anti EP』

3 ルールを見直す
校則をつくる・変更する/早稲田大学吉村靖孝研究室《21_21 to “one to one”》/遠藤麻衣《アイ・アム・ノット・フェミニスト!2017/2021》/エル・ブジ/『100,000年後の安全』/早稲田大学吉村靖孝研究室《滝ヶ原チキンビレジ》/NPO法人スウィング《京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」》/排除アートに対抗するベンチ/ダニエル・ヴェッツェル(リミニ・プロトコル) 田中みゆき 小林恵吾(NoRA)×植村遥 萩原俊矢×N sketch Inc.《あなたでなければ、誰が?》/田中功起《ひとりの髪を9人の美容師が切る(二度目の試み)》

4 ルールを更新する
鬼ごっこのルール/コロナ禍における道路占用許可基準の緩和/葛宇路(グゥ・ユルー)《葛宇路》/デジタル民主主義プラットフォーム/LEGAL SHUTTER TOKYO/丹羽良徳《自分の所有物を街で購入する》/スクワット/『DEATH STRANDING』/「弱いロボット」

〈座談会〉菅俊一×田中みゆき×水野祐
「ルール?展」のあとに
ルールは網羅できない/自分の範疇を広げて考える/マジョリティは消去法によって構成される/場は何を規定するのか/わかりやすい満足に勝てるか/ルールはバイナリー型、マナーは堆積型/ルールをつくることはコストを下げる? あるいは上げる?/ルールリテラシーとルールコンピテンシー/失敗が更新のチャンスになる

〈資料1〉 コロナ関連記事抜き出し
〈資料2〉 法的視点からの考察&データで見る社会

謝辞
「ルール?展」展示作品クレジット
主要参考文献

プロフィール

[著]
菅俊一(すげ・しゅんいち)
コグニティブデザイナー、多摩美術大学統合デザイン学科准教授。認知的手がかりの設計による行動や意志の領域のデザインを専門としており、近年は顔図版による視線を用いた誘導体験や人間の創造性を引き出すための制約のデザインについての探求を行なっている。主な仕事に、NHK Eテレ「2355/0655」ID映像、21_21 DESIGN SIGHT企画展「単位展」コンセプトリサーチ、同「アスリート展」展覧会ディレクター。著書に『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』(共著・マガジンハウス)、『観察の練習』(NUMABOOKS)。主な展覧会に「あいちトリエンナーレ2019」(愛知県美術館、2019)、「指向性の原理」(SOBO、東京、2017)、「正しくは、想像するしかない。」(デザインギャラリー1953、東京、2019)、「視線の設計」(多摩美術大学TUB、東京、2023)。

田中みゆき(たなか・みゆき)
キュレーター、プロデューサー。「障害は世界を捉え直す視点」をテーマにカテゴリーにとらわれないプロジェクトを企画。表現の見方や捉え方を障害のある人たち含む鑑賞者とともに再考する。近年の仕事に『音で観るダンスのワークインプログレス』(KAAT神奈川芸術劇場ほか、2017–)、展覧会「語りの複数性」(東京都渋谷公園通りギャラリー、2021)、「オーディオゲームセンター」(2017–)など。アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成を得て、2022年ニューヨーク大学障害学センター客員研究員。美術評論家連盟会員。

水野祐(みずの・たすく)
法律家。弁護士(シティライツ法律事務所、東京弁護士会)。Creative Commons Japan理事。Arts and Law理事。グッドデザイン賞審査委員。慶應義塾大学SFC非常勤講師。note株式会社などの社外役員。著書に『法のデザイン──創造性とイノベーションは法によって加速する』(フィルムアート社)、連載に「新しい社会契約(あるいはそれに代わる何か)」(『WIRED』日本版)など。