第4章 聞こえない音を録る 本章では人間には物理的、周波数的に聴くことの難しい音(振動)を録る方法やそうした音に焦点を当てた作品について紹介したい。本章で取り上げる「聞こえない音」とは、固体の振動、水中の音、超高周波(超
はじめに 快晴の冬の朝。まばゆい太陽の光と温かさを浴びながら生きていると実感する、いや生かされていることに感謝する。何気ない一瞬も、さまざまな条件がないと成立しない。遡れば宇宙が生成し地球ができ、四十六億年の時間の中で生
はじめに 映画の魅力に取り憑かれ、研究者となったが、映画に対する関心の中心にはつねにジェンダーやセクシュアリティの問題があった。どんな映画作家の、どんな映画作品を見ていても、それが気にならなかったことはない。そうして映画
なぜふるまいなのか 20世紀という大量生産の時代は、製品の歩留りを減らすために、設計条件を標準化し、製品の目標にとって邪魔なものは徹底して排除する論理をもっていた。しかし製品にとっては邪魔なものの中にも、人間が世界を感じ
はじめに Spotify が自動生成した私仕様のプレイリストをスマートフォンと同期したBluetooth イヤホンで聴く。SNSで話題になっていたヒットMVを自宅のパソコンで検索し、YouTube のレコメンデーションを
[座談会]映画について教えるということ ──講義「マスターズ・オブ・シネマ」について 是枝裕和・土田環・岡室美奈子・谷昌親・藤井仁子=談 土田 「マスターズ・オブ・シネマ」は、安藤紘平先生によって早稲田大学で開講された科
映画史を学ぶクリティカル・ワーズとは? 「映像の時代」という言葉が巷に流通するようになってからすでに久しい。それにもかかわらず、映画教育ないし映像教育は、ほとんどなおざりにされてきたといってもいい。今日では、大学などで映
はじめに 突然ですが、みなさんは現代アートについてどのようなイメージをお持ちですか? 何が描いてあるかわからない抽象画や難解なコンセプトの作品、そして専門用語が飛び交う解説文などから、敷居の高いイメージを持っている方も多
序章ファッションを通して考える 思考すること、それは旅することである──ドゥルーズ&ガタリ[1] 1 ファッションを理論化する 現代ムスリムのアイデンティティを定義する上でのヴェールの役割、ファッション雑誌に登場する女
日本語版への前書き 本書の大部分は、2010年に書き下ろしたものである。2000年から2010年の間は、世界に大きな意味をもたらす政治的出来事が起こった時期であり、その影響はアートワールドにも及んだ。2000年には、米国
序章「映画における意味」 映画とは技巧(テクニック)と意味との結婚である。セットを作り、俳優に演技を指示し、カメラの位置を決め、撮影した大量のショットを編集する時、映画製作者は単に物語を語っているのではなく、「意味」を作
6 役柄とキャラクター 役柄はキャラクターではない。役柄はストーリーの社会秩序における一般的な立場(母親、上司、芸術家、一匹狼)を担い、それに応じた役目(子供に食べさせる、従業員を管理する、キャンバスに絵を描く、他人を避