プロローグ 1969年、匿名で書かれた一通の手紙がニューヨークの美術界に出回った。そこに記されていたのは次のような宣言だ。「我々は自分たちが身を置いているシステムを打ち倒し、変革への道を切り拓くことによって、革命を支援し
本書の構成と使用法 本書『新たな距離』は、制作集団・出版版元「いぬのせなか座」の立ち上げ以降、私がなしてきた議論を集成した三部作のうちの最初の一作である。いぬのせなか座の思想的背景を明らかにするとともに、言語表現やデザ
わたしは、「べき」ということばが好きではありません。少なくとも、文章の書き方を指南すると称した本や、動画や講座において、このことばの使われ方が気に入らないのです。「べき」ということばが何度も繰り返されるので、うまく書く
はじめに 本書は、私が当時所属していた東京都立大学にて2022年1月から3月にかけて開講したオンライン連続講座、『シティ・ポップから考える――都市・音楽・イメージ』の記録をもとにして構成されている。雑誌『東京人』2021
イントロダクション 答えは単純明快だ。彼がインタビューに応じるようすを聞けばわかる。懐かしのテレビホームコメディ『ビーバーちゃん』から抜け出てきたかのような、古風で純真無垢な声調。模範的なボーイスカウトのリーダーを彷彿と
ラッセンの歩み 編:原田裕規 1956年3月11日、クリスチャン・リース・ラッセン(Christian Riese Lassen)はカリフォルニア州メンドシーノ郡で生まれました。軍人だった父ウォルター、芸術的な才能に溢
序 若いころ、熱心に読んだ本の一冊に『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』がある。1964年からパリに滞在し、『カイエ・デュ・シネマ』同人となった山田宏一による、ヌーヴェル・ヴァーグの映画人との交友記である。私はここ
1976年のカリフォルニアに生きる黒人女性のデイナが、4代前の高祖父である白人の少年ルーファスのいる、南北戦争以前のメリーランド州の農園にタイムスリップする。彼が死んでしまえば自分は存在しなくなる。だが自分が生まれるため
スタンダップコメディとは何か スタンダップコメディの定義 これまでさまざまな日本のメディアで「アメリカで活動する日本人スタンダップコメディアン」として紹介していただき、スタンダップコメディについて話してきたが、その多く
対立・葛藤という黄金の糸がストーリーを動かす 対立・葛藤には独自の大きな力があり、プロットとアークの両方に影響をおよぼしながら、この2つを織り合わせる黄金の糸となり、ストーリー全体を貫く。たとえば、対立・葛藤がなければ、
イントロダクション 「最も回復力のある寄生虫は? バクテリア? ウイルス? 回虫? 違う、アイデアだ。回復力があり……感染力が強い。一旦アイデアが脳内に巣食うと、根絶はまず不可能だ」――コブ(『インセプション』) クリス
◎それがどんな怪物なのか考案する前に、次のことを考えてみてほしい。きみはサメというものを見たことも聞いたこともないとする。サメの写真も動画も見たことがない。学校でサメについて習ったことも、動物番組「アニマル・プラネット」